介護職員の多くが目指す「介護福祉士」ですが
介護福祉士受験にあたり
「実務者研修」の修了は必須となっています

実務者研修について

  • いつ受ければいいの?
  • 何か月くらいかかる?
  • 費用はいくら?
  • 働きながら受けられる?
  • スクーリングでは何をする?
  • 国家試験の勉強も一緒にやってくれる?

など、実際に申し込もうとすると分からないことも多いですよね

僕自身、介護福祉士を取得したのが2013年くらいだったので
当時はギリギリで「実務者研修受講が必須」ではありませんでした

当時は3年の実務経験と受験のみで
介護福祉士への受験ができたんです

なので、「実務者研修」を受講した経験はありませんが

僕は資格取得のスクールで
「初任者研修」の講師を短期間していた経験があります

その時期「実務者研修」の講師も
本講師の補助役として参加していたこともあります

講師時代の経験も交えながら

この記事では実務者研修について

  • 実務者研修の概要
  • 一番効率の良い修了の仕方
  • 介護福祉士受験とその先のキャリアも見据えた受講の流れ
  • 知っておくと役に立つスクーリングへの心構え

など、できるだけ分かりやすく解説します

「とにかく最短で取る」だけではなく
仕事や生活と両立しながら
自分に合ったタイミングで介護福祉士を目指す
ための参考にしてもらえたらと思います

介護福祉士取得の「最善」ルートをわかりやすく解説した記事はこちら
→「介護福祉士の取り方|最短ルートより『最善』を選ぶ未経験からの3年間」

Contents

実務者研修は介護福祉士を目指す人に必要な研修

実務者研修は
介護についてより専門的な知識や技術を学ぶための研修です

実務経験ルートでは介護福祉士国家試験を受験するために必須な研修
となっています

実務経験ルートでは

  • 介護等の実務経験3年以上
  • 実務者研修の修了
  • 介護福祉士国家試験への合格

によって介護福祉士資格を取得できます

「実務経験3年を積み終わってから実務者研修を受ける」必要はありません

先に実務者研修を受けてもいいですし
働きながら並行して受講しても大丈夫です

→ 厚生労働省「実務者研修の科目及び時間数について」

→ 社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験・受験資格」

無資格でも実務者研修は受けられる

実務者研修は
「初任者研修を取った人が次に受ける研修」
と思われることがありますが
初任者研修を持っていなくても実務者研修の受講はできます

無資格
↓
実務者研修
↓
介護福祉士

という進み方も可能です

一方で、初任者研修を修了している場合は、一部の学習科目が免除になります

「まず初任者研修から受けるか」
「初任者研修は飛ばして実務者研修を受けるか」
については、自分の働き方や介護経験、介護福祉士を目指す時期から考えるのがおすすめです

初任者研修を修了してから入職するか
迷っている方はこちらを参考にしてください
→「無資格で介護職を始めるメリットとデメリット」

無資格なら原則6か月以上かけて学ぶ

実務者研修は
基本となるカリキュラムが450時間です

厚生労働省が示している科目には

  • 人間の尊厳と自立
  • 社会の理解
  • 介護の基本
  • コミュニケーション技術
  • 生活支援技術
  • 介護過程
  • 発達と老化の理解
  • 認知症の理解
  • 障がいの理解
  • こころとからだのしくみ
  • 医療的ケア

があります

無資格など科目の免除がない場合
修業年限は原則6か月以上です

すでに修了している研修によっては免除される科目があるため
必要な学習時間は変わります

たとえば初任者研修修了者の場合
厚生労働省の資料では450時間のうち一部が読み替えられ
実務者研修として必要となる時間は320時間となっています

450時間ずっと学校に通うわけではない

「450時間」と聞くと結構長くて
毎日のように学校へ通わないといけないの?
と思うかもしれませんが、大丈夫です

自宅での通信学習とスクーリングを組み合わせて
トータルで「450時間」と設定しているところが多いです

たとえば

【自宅】
→ テキスト・eラーニング・課題による範囲学習

【通学】
→ 介護過程の受講・医療的ケアの演習など

という形です

研修機関によって学習方法や通学日数は違うため
受講料だけではなく、スクーリングの日程まで確認してから申し込む
ようにしましょう

実務者研修で身につく知識|介護過程や医療的ケアなど専門知識を学ぶ

実務者研修は
「介護福祉士を受けるための条件を満たすだけの研修」
ではありません

講師をやっていた僕の感覚としては
なんとなく行っている介護について
根拠を持って考えられるようになるための勉強
というイメージです
教える側としても、そんな意識でいました

介護の仕事を続けていると
「いつもこうやっているから」
「先輩からこう教わったから」
というような根拠で介護を行う場面があるかもしれません

もちろん、積み重ねられた慣習を重んじることも大切です

ですが

  • 「なぜこの介助をするのか」
  • 「この利用者さんにはなぜこの方法なのか」

まで考えられるようになると
介護のスキルがもう一段階アップします
新人教育なども自信を持てるようになっていくハズです

その学びが、実務者研修で行われる「介護過程」です

介護過程を学ぶ

介護過程では

利用者さんの情報を集めて
↓
課題や強みを整理して
↓
必要な支援を考えて
↓
介護計画を立てて
↓
実施して
↓
振り返る

という一連の考え方を学びます

これは、初任者研修の最終盤も行われるような学びですが
もう少し掘り下げて、事例を具体的にしているのが
実務者研修で行われる「介護過程」の学びです

現場では
「この人は転倒しやすいから見守りに注意」
だけの認識でなく

  • なぜ転倒しやすいのか
  • 本人はどうしたいのか
  • どこまで自分でできるのか
  • 環境に問題はないか

など、複数の視点から支援を考えます

この「視点を多く持つ」考え方は介護福祉士になった後も役に立ちます

スクーリングでは事例検討や演習を通して介護を深く考える

実務者研修について
不安だったり見通しを持ちにくいのがスクーリングだと思います

  • 「人前で発表があるの?」
  • 「実技試験みたいなことをする?」
  • 「ちゃんと答えられなかったら落ちる?」

などの心配が浮かぶと思います

僕自身、介護に関する研修で講師を担当した経験がありますが
実際、上記の質問に答えるとすると
「人前での発表は、ある」
「実技試験みたいなことは、やる」
です
(※現在、介護福祉士試験にに実技試験はありませんが)

また、あまりに研修を受ける姿勢や態度に難が無い限り
一生懸命考えて導き出した答えが原因で、修了できないような事態にはならないと思います

実務者研修は、国家試験のように「一度の答えを間違えたら不合格」というものではありません

僕が講師を経験した中でも、最初から完璧な介護計画や答えを出せることより、利用者さんの情報をもとに一生懸命考え、「なぜこの支援が必要なのか」を説明しようとする姿勢が大切だと感じていました

もちろん、出席状況や受講態度、課題の提出、各科目の到達目標など、修了するための条件はあります

ただ僕の経験上、真面目に研修へ参加し、指導や助言を受けながら課題を修正していく人が、「考えて出した答えが間違っていた」という理由だけで修了できなくなるような研修ではありません

明らかに間違いのある答えについては
きちんと教えてもらいながら修了までたどり着けるハズです

スクーリングは一方的に講義を聞くだけではない

スクーリングでは講師の説明を聞くだけでなく

  • 事例について考える
  • 情報を整理する
  • 介護計画を考える
  • 他の受講生の意見を聞く
  • 自分の考えを伝える
  • 介護技術を確認する

などが行われます
(※具体的な授業方法は研修機関によって異なります)

普段、自身の職場で働いていると
「うちではこれが普通」
と思っていることがありますが

スクーリングでは
特養、デイサービス、訪問介護、有料老人ホームなど
さまざまな現場で働く人が一緒に受講することが多いです

同じ事例を見ても
「自分ならこうする」
「うちの施設ではこうしている」
と違った意見が出ることがあります

こうした違いを知れることも、スクーリングの面白さの一つです

講師は「正解の介護を知っているか」だけを見ているわけではない

介護には
「この手法、支援が必ず正解」
とは言い切れない場面がたくさんあります

利用者さんの身体状況、生活歴、性格、希望、家族の状況、環境によって必要な支援が変わるからです

だからこそ
「なぜ、この支援を選んだのか」
を説明できることが大切です

講師を担当した経験からも
受講生が最初から完璧な答えを出すことより
さまざまな状況が想定される
利用者視点に立って考えようとしているか

という部分は大切だと感じました

講師をしていた頃、一緒に講義を担当をする方がいました

その方は特養の施設長で僕よりも経験も年齢も上でしたが
一緒に食事をするなど仲良くさせてもらっていました

その方とお話をする中で
「どんな職員に働いてほしいか?」
の考えを、教えてくれたことがあります

その方によるとそれは
「介護職員の心構え」をしっかり持てている人に
自分の施設では働いてほしい

なのだそうです

介護技術や支援の手立てについては
入職してからいくらでも学ぶことができると

ただ、利用者主体の視点を持つことや
人権を尊重する考え
チームで支援を行う意識などは
心に持った状態で働いてほしい
初任者研修や実務者研修では
そういったマインドセットをするための研修であるべき
と、話してくださいました

「技術よりも心構え」というのは
今でもよく思い出し
新人教育の時など、参考にしている考え方です

人前で話すのが苦手でも必要以上に怖がらなくていい

スクーリングではグループワークや発表などがありますが
苦手な人もいると思います

ですが、難しく考える必要はないですし
「うまく答えなければ」
と考えすぎる必要はありません

大切なのは
自分なりの意見を伝え
他の人の意見も素直に聞くことです

他の受講生の意見を聞いて
「そんな見方もあるのか」
と思えたら、それだけでも大きな学びです

スクーリングは
理想的な回答をする人が正しいのではなく
介護について考える練習をする場所
という意識で全然OKです

色々な経験を持つ人と一緒に講義を受け
さらに多くの経験を持つ講師がいますので
仲間を増やしたり、新たな価値観、学びを得られるチャンスだと思いましょう

医療的ケアでの学びについての注意点

実務者研修には「医療的ケア」も含まれています

厚生労働省のカリキュラムでは、医療的ケアは50時間です
さらに講義とは別に演習を修了する必要があります
内容としては、喀痰吸引や経管栄養などについて学びます

ただし注意点として
実務者研修を修了しただけで、どこでも自由に喀痰吸引などができるようになるわけではありません
実際に行為を行うためには
法律上の要件や勤務先側の登録なども関係します

詳しくはこちら
→ 厚生労働省「医療的ケアの教育及び実務者研修関係」

受講費用は保有資格やスクールによって変わる

実務者研修の費用は全国一律ではありません
研修機関や持っている資格によって変わります

  • 教材費
  • スクーリング費用
  • 割引制度
  • キャンペーン
  • 教育訓練給付制度の対象か

などによっても、実際の負担額は変わります

一例として、2026年10月時点で三幸福祉カレッジでは

保有資格通常受講料
初任者研修修了109,670円(税込)
ホームヘルパー2級修了109,670円(税込)
免除資格なし142,670円(税込)

と案内されています

※教材費込みの料金
※料金・割引等は変更される可能性があるため、申し込み前に必ず各スクールの公式情報をご確認ください

スクールの選び方に迷っている方へのアドバイスは
「一番安いところ」だけで決めないことです

  • 安いけど、場所が遠い
  • 受講の振り替えスケジュールがあまり臨機応変にできないようになっている
  • 勤務日とスクーリングが重なる可能性が高い

となれば、働きながら受講する人にとっては結構大変です

費用も大事ですが
通いやすく、フレキシブルに受講時間や振り替え受講への対応が可能か
などは、確認できるならしておきましょう

給付制度や資格取得支援で負担を減らせる場合がある

受講料が10万円前後になることもある実務者研修ですが、条件によっては負担を減らせる可能性があります

教育訓練給付制度

厚生労働大臣の指定を受けた講座の中には、教育訓練給付制度を利用できるものがあります

専門実践教育訓練の場合、一定の条件を満たすと教育訓練経費の50%が支給され、資格取得・就職等や賃金上昇などの要件を満たすことで70%、80%まで追加支給される仕組みがあります

ただし
すべての実務者研修が対象というわけではありません

  • 自分が給付要件に当てはまるか
  • 制度を利用できる指定講座か

を事前に確認しましょう

詳しくはこちらから確認してください
→ 厚生労働省「教育訓練給付金」
→ 厚生労働省「教育訓練講座検索システム」

勤務先の資格取得支援も確認しよう

事業所によっては

  • 実務者研修の費用補助
  • 研修日の勤務調整
  • 受講日を勤務扱いにする
  • 資格取得後の手当

などの規定がある場合があります

これから介護職へ転職する人なら
給与だけではなく
これらの4点についてはどうなのか
確認しておきましょう

働きながら介護福祉士を目指すなら
求人を見るときに「資格取得支援制度」だけでなく
研修日の扱いまで確認するのがおすすめです

資格を取りながら長く働くつもりなら
数万円の月給差だけではなく
こうした支援制度も含めて職場を比較してみてください

介護職員向けの転職サイトや転職サービスを、比較した記事があります
参考にしてみてください
→「レバウェル介護・かいご畑・介護JJを比較|介護職の転職サービス」
→「介護系転職サービス比較|クリックジョブ介護とリスジョブ」

受験直前ではなく早めに受講時期を考えておく

実務者研修受講は
介護福祉士国家試験の直前になって慌てて受けるより
少し余裕を持って計画する
のがおススメです

実務者研修という名前を聞くと
「実務経験を積んだ人だけが受けられる研修」
と思ってしまいそうですが、そんなことはありません

実務者研修の受講に、介護の実務経験は必要ありません

無資格・未経験の人でも受講でき、初任者研修を修了していなくても申し込みできます

たとえば

入職
↓
仕事に慣れる
↓
初任者研修・実務者研修を検討
↓
実務経験を積む
↓
介護福祉士国家試験

という形でも進められます

僕自身も資格取得については
「最短で取ればいい」というより
今の仕事や生活と両立できる時期を選ぶ
ことが大切だと考えています

  • 家族がいる
  • 仕事が忙しい
  • 夜勤がある
  • 子育て中

など、人によって状況は違います

半年程度の学習期間が必要になることを考えると
介護福祉士の試験を受ける年になってから実務者研修の受講を考え始めるより
1〜2年目のうちから
「いつ実務者研修を受けようかな」

と考えておくのをおススメします

このブログオリジナルの
「介護・福祉資格の取得時期シミュレーター」
を使ってみてください
無料です
入社日を入力すると、実務者研修を検討する時期や介護福祉士国家試験の目安を確認できます

受験対策講座は実務者研修とは別に考える

実務者研修を修了することと
介護福祉士国家試験に合格するための勉強は少し別物です

実務者研修をキッチリ修了していれば
介護福祉士の試験に合格できるとは限りません

  • 国家試験の過去問を何度も解く
  • 試験に出やすい部分を集中して勉強する

といった、「試験に受かるための勉強」はある程度必要になります

スクールによっては、別途

  • 受験対策講座
  • 模擬試験
  • 直前対策
  • Web講座

などを用意している場合があります

受験対策講座をつけた方がいい人

  • 一人では勉強を続けるのが苦手
  • 何から勉強すればいいか分からない
  • 過去問だけでは不安
  • 試験まで時間がない

という人なら検討する価値があります

一方で、自分で計画を立てて

テキストを読み込む
↓
過去問を解く
↓
苦手分野の復習

と計画的に進められる人なら、独学という選択肢もあります

まず過去問を一度解いてみてから考えてもいいでしょう
→ 社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験 過去の試験問題」

受講前に知っておきたい注意点 Q&A

Q、実務経験がなくても受けられる?

A、受講できます

実務者研修と実務経験は並行して進められます

介護福祉士国家試験を受験する段階では実務経験などの条件を満たす必要があります

Q、初任者研修を飛ばして実務者研修を受けられる?

A、可能です

ただし、無資格から受講する場合と初任者研修修了後では
履修する科目や時間が異なります

Q、働きながらでも受講できる?

A、できます
通信学習とスクーリングを組み合わせているスクールが多いです

スクーリングへの出席が必要になるため、勤務との調整は必要です

Q、スクーリングを休んだら?

A、振替や補講などの扱いは研修機関によって異なります

申し込み前に必ず欠席時の対応を確認しておきましょう

Q、実務者研修を修了すれば介護福祉士になれる?

A、実務者研修を修了しただけでは介護福祉士にはなれません

実務経験ルートの場合は、必要な実務経験を満たしたうえで介護福祉士国家試験を受験し、合格する必要があります

修了後は介護福祉士取得と次のキャリアにつなげる

実務者研修を受ける大きな目的は
ほとんどの方が介護福祉士を取得するためだと思います

ですが
資格は取ること自体がゴールではないと
知っておいてほしいです

介護福祉士を取ったあと

  • 今の職場で経験を積む
  • リーダーを目指す
  • 給与や待遇を見直す
  • 障がい福祉など別の分野を経験する
  • 保育士など別の資格へ広げる
  • 社会福祉士を目指す

など、いろいろなキャリア形成があります

僕自身も

介護の仕事
↓
介護福祉士
↓
障がい福祉・児童分野
↓
保育士

と、経験や資格を少しずつつなげてきました

介護福祉士を取ったことで
「ずっと介護の仕事をする」
の選択肢だけではなく

介護の経験・資格を土台に次の仕事を考えられるようになります

→「黄金のキャリア形成とは|介護経験を次のキャリアへ」

まとめ|資格取得だけでなく介護を深く考える機会になる

実務者研修は、実務経験ルートから介護福祉士を目指す人にとって重要な研修です

基本となるカリキュラムは450時間

無資格の場合は原則6か月以上の修業年限があり
保有している資格・研修によって一部科目が免除されます

実務者研修には
「介護福祉士国家試験を受けるため」
だけではない意味もあります

これまで現場で
「なんとなくこうしていた」
介護について

なぜこの支援をするのか
本人はどうしたいのか
他に方法はないか

と、あらためて考える機会にもなります

スクーリングでは
完璧な答えを出そうと意気込むより
利用者さんについて考え、色々な人の意見を知る
そして
自分なりの根拠を持つこと
が大切だと意識してみてください

そして介護福祉士を取得した先には
さらにいろいろな働き方があります

資格を取る時期に迷っている人は、入社日から取得時期の目安を確認できるシミュレーターも作っています

→「介護・福祉資格の取得時期シミュレーター」

実務者研修を
「受験するために仕方なく受ける研修」だけではなく
これからの介護やキャリアを考えるきっかけにしてもらえたらと思います

最後まで読んでくださった方
ありがとうございました

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