介護・療育・福祉職で「楽しく働く」とは?目指すべき働き方と到達点を考える
「仕事なんだから、つらいのは当たり前」
そんなふうに思いながら働いていませんか
介護職員として働くにあたり
- 人間関係や利用者対応で毎日ストレスを感じる
- 体力的な負担が大きく、この先も続けられるか不安
- やりがいはあるのに、給与や待遇に納得できない
こんな悩みを抱えている方が多いと思います
このような悩みを抱えたまま働き続けると、仕事そのものが苦痛になり、「福祉の仕事は向いていなかったのかもしれない」と感じてしまうこともあります
僕は介護職員として10年間勤務し、その途中で介護福祉士を取得しました
その後、結婚・子育てを経験する中で働き方を見直し、初任者研修講師や障がい福祉、児童福祉の現場を経験しながら保育士資格も取得しました
介護の経験を土台に選択肢を広げたことで、家庭との時間を確保しながら、給与や働き方にも納得し、仕事を「楽しい」と感じられるようになりました
この記事では、仕事満足度や幸福感に関する意識調査や研究結果も参考にしながら、「楽しく働く」とは具体的にどのような状態なのかを整理しています
また、苦痛や不安を減らす考え方と、仕事の楽しさを育てる方法についても解説します
この記事を読み終える頃には、自分が目指すべき働き方が明確になり
「何を変えれば楽しく働けるのか」が見えてきます
福祉の仕事を長く続けながら、やりがいも収入も家庭もプライベートも大切にしたい
そのための一つの考え方を、一緒に整理していきましょう
仕事の満足度は、生活の充実感に強く関係する

内閣府が毎年実施している「満足度・生活の質に関する調査」では2025年日本人の生活満足度は10点満点中平均5.79点でした
生活満足度は健康や家族、人とのつながりだけではなく、「仕事」も重要な要素として位置づけられています
「仕事は生活のためだから、プライベートが充実していれば十分」
そう考える人もいるかもしれません
しかし、実際には仕事と人生は切り離せるものではありません
働く社会人は1日の約3分の1を仕事に費やし、多くの人は人生の中で何万時間も働きます
その時間が苦痛ばかりであれば、生活全体の満足度まで下がってしまうのは自然なことです
労働政策研究・研修機構(JILPT)が実施している「勤労生活に関する調査」では、仕事のやりがいや満足度、生活満足度、働く価値観などが継続的に調査されています
その分析では、仕事のやりがいや満足度が高い人ほど、生活全体の満足度や充実感も高い傾向があることが示されています
つまり、「仕事が楽しいから人生が充実する」「人生が充実しているから仕事も楽しく感じやすい」というように、仕事と生活はお互いに良い影響を与え合う関係にあると考えられます
特に介護や療育などの福祉職は、人と深く関わる仕事です
仕事で感じる喜びや達成感は、そのまま人生の充実感につながることも少なくありません
一方で、人間関係や体力的な負担、将来への不安などを抱え続けると、仕事だけでなく家庭や休日の時間にも影響が及ぶことがあります
だからこそ、「仕事だから我慢する」という考え方ではなく、仕事の満足度を高め、楽しく働くということは、人生全体の幸福度を高めることにもつながります
楽しさの感じ方は人それぞれ

2026年発表の、NIRA総合研究開発機構の調査「仕事で何に満足しているか」によると
満足度が比較的高かった項目は
- 職場の人間関係
- 仕事へのやりがい・達成感
- 仕事への裁量(自分で決められること)
- 労働時間・ワークライフバランス
となっています
参考はこちら
(第4回政治・経済・社会に関する意識調査(NIRA基本調査)(速報):留置調査)
「満足度」を「楽しさ」と考えるとすると、労働者にとっての「楽しさ」とは、以下の要素が影響するということがわかります
- 収入面
- 成長を感じられる瞬間
- 成功体験
- 時間に縛られない自由
- 役割の実感
- 社会貢献の実感
具体的には
- 自分にとって正当と思える労働の対価が収入として得られている
- 知識や専門性が高まっていく
- 周囲の人間に必要とされている場面が多くある
- 定時で帰れる
- 顧客と向き合い、接することが好きで、楽しい
等が挙げられます
人それぞれ、価値観や性格によって「楽しい」の定義は違います
同じ出来事でも、Aさんにとっては「楽しい」が、Bさんにとっては「苦痛」という場合があるということは前提として、この後の解説を続けていきます
読んでいただく人には、「自分にとっての楽しいは何か」「自分にとっての苦痛は何か」をイメージしながらこの後を読み進めていただきたいと思います
介護や療育 福祉職における「苦痛」の例

- 人間関係の不安
- 利用者対応の精神的苦痛
- 腰痛や夜勤業務等、体力面での不安
が挙げられます
そしてこれらも人により苦痛のレベル、度合いは違います
ある人には耐えられるほどの苦痛が、別の人にとっては耐え難い苦痛である可能性もあります
ここでも、「自分にとっての苦痛」はどういうもので、それは耐えられるものであるのか、毎日自分をすり減らして消耗が続いているほどの苦痛なのか、考えてみてください
僕の場合、介護職員として働いていたころ、まず腰がヘルニアになりました
まだ20代前半の頃です
「この痛み、一生続くのか?」「年取ったら、動けなくなるんじゃないか?」といった不安が大きくなったり
とある利用者に仕事として介護をしに部屋に入ると、「またお前か!」と毎回怒鳴られ、仕事に行くことすら憂鬱になっているような時期もありました
苦痛を減らすことで、心身をフラットに保つ

楽しさには2つの解釈があります
「相対的な楽しさ」と「内発的な楽しさ」
の2つです

上記の図を見ていただくと、左右の軸は「相対的な楽しさの範囲」
上下の軸は「内発的な楽しさの範囲」となります
左右の軸では「苦痛が小さいか大きいか」をはかっています
「苦痛が小さければ、相対的に【楽しい】と解釈ができる」ということです
上下の軸は、「楽しいと感じる瞬間があるか」の量をはかっています
「心の底から湧いてくる楽しさ」が、「内発的な楽しさ」と位置付けます
自分が今、どの状態、どのエリアに居るか、ぜひ考えてみてください
Aエリア
4つのエリアがありますが、見てわかるように
Aのエリアが「楽しさが高い」「苦痛は小さい」の状態ですので、誰しもこのエリアを目指していきたいですよね
このAエリアに到達することが「楽しく働けている状態」であると定義して、進めていきます
Bエリア
Bエリアについて、一見すると悪くない状態に見えます
「楽しさがあるが、苦痛も多くある状態」です
「苦痛も乗り越えて、楽しさを手に入れている」という解釈ができますが
少し危険な状態でもあると、僕自身は考えます
例えばですが、「ツラい(苦痛)な仕事を終えた後、帰って飲むビールがおいしい」といったことを考える人は多いのではないでしょうか
ですが、そもそも「ツラい仕事(苦痛)」が無かったらどうでしょう
これを、「ツラい仕事」ではなく「やりがいのある仕事」に置き換えることで
「やりがい(気持ちの良い疲れと達成感)」+「ご褒美のビール」
というように変えられたら、より幸福感が増すと思いませんか?
先にご褒美的な楽しみがあったとしても、「苦痛」は精神や体力をむしばんでいくものです
「苦痛」というのは減らしていきたいもの
究極を考えるのなら、ゼロにしたいもの
と考えてください
Bエリアに居るということは、この「苦痛」が大きいという状態ですので、じわじわと自身をむしばんでいる状態、ということになります
そしてそれは、「楽しさ」によって相殺されるものでは無いということを理解してください
2001年に提唱された「JD-Rモデル(仕事の要求度―資源モデル)」によれば
「苦痛を減らすこと」と「働く力や楽しさを増やすこと」は、別々に取り組む必要がある
と解説されています
JD-Rモデルについては
スマートHRのHPに詳しい記載がありましたので、参考にしてください(リンクはこちら)
Cエリア
「楽しさを感じていないが、苦痛も特にない」という状態です
一見、無気力な状態で活気が無く、「大丈夫かこの人」というようなイメージも持ってしまいそうですが
この状態は悪くない状態だと、僕は考えます
「苦痛が無い」「楽しくも無い」というのは、いわばフラットな状態ですので、「楽しさ」をみつけることで、Aエリアに上昇していくことができるからです
Aエリア「楽しく働く」の状態に持っていくためには、苦痛をまず取り除く
ことが重要です
そして、心身をフラットな状態に戻し、仕事の「楽しさ」をみつけていく
JD-Rモデルの考え方を踏まえても、これが正しい順番です
Dエリア
「楽しさが無く、苦痛が大きくある」という状態で、どう見ても危険な状態とわかります
できるなら早めにこの状態からは脱出したいものですが
脱出には順番があります
先に述べたように、「苦痛と楽しさは別々なものである」と考えます
「楽しさをみつけることでは、苦痛は消えない」ので
「まずは苦痛を取り除く」ことからはじめてください
具体的なステップを次にご紹介します
苦痛を取り除く 8つのステップ

① 自分にとっての「苦痛」を書き出す
箇条書きで思いつく限り書き出します
【例】
- 夜勤がつらい
- 腰痛がキツイ
- 人間関係
- クレーム対応
- 給与が低い
- 通勤時間
- 残業
- 将来への不安
などなど
② 苦痛の大きさを評価する
箇条書きに挙げた苦痛のリストに、大小の評価をつけます
★★★★★
★★★★☆
★★★☆☆
みたいな感じでやってみると良いです
これにより
「どれが一番人生を苦しめているか」を明確にします
③ 苦痛が続いても我慢できるものか分析する
例えば
| 【苦痛】 | 【あと10年耐えられる?】 |
| 腰痛 | × |
| 給与の低さ | 〇 |
| 夜勤 | △ |
| 30分の通勤時間 | 〇 |
のように「今は耐えられる」ではなく
3年、5年、10年と長期的に耐えられるか
で考えるのがポイントです
④ 原因を分析する
例えばですが
「給与が低い」
↓
なぜ?
↓
- 資格がない
- 事業所の給与体系
- 地域相場
など、原因を分解します
⑤ 自分でコントロールできるか
例えば
【コントロールできる】
- 資格取得
- 勉強による知識向上
- 転職活動
- 自分からのコミュニケーション
- 運動、体操
【コントロールできない】
- 上司の性格
- 利用者の障害
- 会社の経営方針
- 国の制度
など、分けて整理します
⑥ 解決策を考える
例えば
【腰痛があるなら】
- 介助方法を変える
- 筋トレをする
- コルセットをつける
- 部署異動を願い出る
【給与面で納得できないなら】
- 資格取得
- 転職
- 昇給交渉
などです
⑦ 解決策の実行
実行可能なものかを考え、できるものを実行します
ここでは
「今週できること」「1ヶ月以内にできること」
と短い期限を設けて実行ができるか考えてみてください
苦痛を3ヶ月、半年、1年と我慢するのはかなりしんどいことです
例えば
- 転職サイト登録
- 上司へ相談
- 本を買って読む
- 腰痛外来を受診
など
⑧ どうしても改善できないなら環境を変える
十分な対策を講じても改善が難しく、自分ではコントロールできない苦痛が長期間続く場合は、異動や勤務形態の変更、転職など『環境を変える』ことも前向きな選択肢です
- 異動
- 勤務形態変更
- 夜勤免除
- パート
- 他分野(介護→療育など)
苦痛を減らすことは、あくまでスタートラインです
苦痛が少なくなったからといって、自動的に仕事が楽しくなるわけではありません
次に必要なのは、「仕事の楽しさ」を育てていくことです
内発的な楽しさの上昇を目指す

苦痛をできる限りで軽減、またはゼロにし、フラットな状態に持っていくことができたら、それは「相対的に楽しい」という状態になります
先ほどの4象限の図でいうと、「Cエリア」に到達したところと考えてください
ここから、「内発的な楽しさ」を上昇させ、「Aエリア」にたどり着くことができたら
それこそが「楽しく働けている状態」ということになります

「Bエリア」がスタート地点だとすると、上記のようなルートをたどり、「Aエリア」を目指すことになります

そして、「Cエリア」がスタートだとしたら、ウネウネとしながら、上昇をして「Aエリア」を目指すことになります
ここでいう「楽しく働く」とは、ラクをすることでも、責任から逃げることでも、サボることでもありません
仕事には、難しさや疲れ、緊張、失敗することもあります。それでも、自分の仕事に意味を感じたり、誰かの役に立てたと実感したり、以前より成長できたと思えたりする
僕はそうした納得感や達成感を含めて「楽しく働く」と考えています
楽しい仕事とは、苦労のない仕事ではありません
苦労があっても、「この仕事をやっていてよかった」「また少し頑張ってみよう」と思える仕事です
一方で、過度な我慢や心身を壊すほどの負担まで、「やりがい」や「楽しさ」と呼んで耐える必要はありません
楽しく働くためには、やりがいを増やすことと同時に、不必要な苦痛を減らすことも大切です
福祉職だからこそ感じられる楽しさの例

福祉の仕事は、決して楽な仕事ではありません
しかし、長く続けている人の多くは、苦労の中にも「この仕事だからこそ味わえる楽しさ」を感じているハズです
厚生労働省の令和7年度「介護のしごと魅力発信等事業」では、
一般の人500名に「介護の仕事に対するイメージ」
を調査しており
「やりがいの大きさ」については
- とても良い:7.8%
- やや良い:31.6%
合計すると、39.4%の方が「介護はやりがいが大きい」という肯定的なイメージを持っていました
これは大きな数字だと思います
以下に、主な福祉職のやりがいを述べます
あくまで一例なので、楽しさは人それぞれ、ということも前提として、読んでみてください
成長を実感できる
経験を積むほど、自分自身の成長を実感できます
- 以前は難しいと感じていた課題にも対応できるようになる
- 利用者一人ひとりに合わせた支援の引き出しが増える
- 後輩や新人へ知識や技術を伝えられるようになる
など、「昨日の自分より成長できた」という実感は、大きなやりがいにつながります
成功体験を積み重ねられる
福祉の仕事には、小さな成功体験が数多くあります
- 利用者ができなかったことをできるようになった
- 子どもが新しいことに挑戦できた
- 自分たちで企画した行事が成功した
- 試行錯誤した支援が良い結果につながった
その一つひとつが、「次も頑張ろう」という原動力になります
笑顔や感謝を直接受け取れる
福祉職の大きな魅力は、自分の支援が相手の笑顔として返ってくることです
- 利用者から「ありがとう」と言われる
- ご家族から感謝の言葉をいただく
- 子どもや高齢者の笑顔を見ることができる
人の役に立てたことを実感できる瞬間は、この仕事ならではの喜びです
企画し、実現する楽しさ
決められた業務をこなすだけではなく、自分たちで考えたことを形にできるのも福祉職の魅力です
- 行事やイベントを企画する
- 試行錯誤を重ねながら支援を改善する
- 仲間とアイデアを出し合い、一つの形をつくり上げる
苦労して準備した分、成功したときの達成感も大きくなります
仲間と喜びを分かち合える
福祉の仕事は、一人では成り立ちません
- 利用者の成長をチーム全員で喜べる
- 困難な場面では支え合える
- 経験や知識を共有しながら、お互いに成長できる
苦しさを分け合い、喜びを共有できる仲間の存在は、大きな支えになります
安心して働ける環境がある
仕事そのものの楽しさに加え、安心して働ける環境も欠かせません
- 家庭や趣味との両立ができる勤務時間
- 心身に無理のない働き方
- 生活に支障がなく、納得できる給与や待遇
仕事が楽しいだけでは、長く続けることは難しいものです
働きやすい環境が整ってこそ、福祉職の楽しさを十分に感じられるようになります
黄金のキャリア形成の中で、楽しさを発見する

ここまで、「楽しく働く」とはどのような状態なのかを考えてきました
仕事の満足度は人生の充実感にも深く関わっています
しかし、「楽しい仕事」は偶然見つかるものではなく、自分自身で近づいていくものだと僕は考えています
まずは、人間関係や体力面、給与への不満など、自分が感じている「苦痛」を整理し、改善できるものから減らしていくこと
そしてその上で、成長や達成感、感謝、仲間との喜びといった「楽しさ」を少しずつ増やしていくことが大切です
僕自身も、介護職として10年間働く中で、介護福祉士を取得し、初任者研修講師を経験し、その後、保育士資格を取得して障がい福祉や療育の分野へ挑戦したことで、働き方の選択肢が大きく広がりました
介護で培った知識や経験は決して無駄にはならず、新しい分野でも大きな強みとなりました
結果として、家庭との時間を確保しながら、自分に合った働き方や待遇を選びやすくなり、以前よりも仕事を「楽しい」と感じられるようになりました
僕はこのように、資格や経験を積み重ねながら、自分に合った働き方を見つけていく考え方を「黄金のキャリア形成」と呼んでいます
黄金のキャリア形成の目的は、資格をたくさん集めることではありません
自分の価値を高め、働ける場所や役割の選択肢を増やし、その時々のライフステージや価値観に合わせて、「自分らしく、楽しく働ける環境」を選べるようになることです
福祉の仕事には、高齢者介護、障がい福祉、療育、保育、相談援助など、多くの分野があります
今いる職場だけがすべてではありません
「楽しく働く」とは、我慢し続けることでも、仕事が楽になることでもありません
苦痛を減らし、楽しさを育て、自分に合った環境を選び続けること
その積み重ねが、長く福祉の仕事を続けながら、人生そのものを豊かにしていくことにつながると私は信じています
このブログでは、介護福祉士・保育士・社会福祉士を軸とした「黄金のキャリア形成」を通して、福祉職で楽しく働き、自分らしい人生を築くための情報を発信していきます
一緒に、自分だけの「楽しく働く」を見つけていきましょう
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました!

