介護の仕事に対して

「給料が低い」
「誰にでもできる仕事だと思われている」
「専門職なのに評価が低い」

そんなイメージにモヤモヤしたことはありませんか?

介護福祉士として働いている人なら

「そんな簡単な仕事じゃない」

と思うこともあるはずです

実際、介護は食事・排泄・入浴を手伝えば終わり
という仕事ではありません

利用者一人ひとりの
身体状況、認知機能、生活歴、性格、家族関係まで考えながら

「その人にとって、今どう支援するのが良いのか」
を考え続ける仕事です

僕自身
介護職からスタートして介護福祉士を取得し
その後は高齢者介護だけでなく障がい福祉や児童福祉でも働いてきました

16年以上働く中で感じていることがあります

それは
介護福祉士の社会的評価は
誰かが勝手に上げてくれるのを待っているだけでは
なかなか変わらない
ということです

もちろん
一人の介護福祉士だけで社会全体を変えることはできません

でも
「介護福祉士って何ができる人なの?」
と聞かれたとき

「国家資格を持っている介護職です」
だけで終わるのか

それとも
「介護をするだけじゃなく、人に教えたり
職場の介護の質を上げたりできる専門職です」
と自信を持って言えるか

ここには大きな差があると思っています

この記事では
介護福祉士になった後に僕が特に大切だと考えている

① 教える
② 研修を作る
③ 自分の価値を伝えて交渉する

という3つの行動についてお伝えします

介護福祉士は
「取るまでの3年」以上に
「取ってからの3年」が重要だと思っています

せっかく取った国家資格です

資格手当をもらうだけで終わらせず
使い倒していきましょう

介護職自身も「社会的評価の低さ」を感じている

「社会的評価の低さ」
これは僕だけが感じていることではありません

厚生労働省の「介護のしごと魅力発信等事業」に関する調査では
介護職自身が介護の仕事に対してどのようなネガティブイメージを持っているのかも調査されています

令和7年度 介護のしごと魅力発信等事業事業間連携等事業 報告書 表82

介護の仕事に対するネガティブなイメージ【介護職】より一部

【令和7年度 介護のしごと魅力発信等事業事業間連携等事業 報告書】

この結果を見ると
介護の仕事に対する課題は
単に「仕事が大変」という話だけではありません

待遇や社会からの見られ方も含めて
介護職自身が感じている課題があります

だからこそ僕は
「国や会社が評価を上げてくれるのを待つ」だけではなく
介護福祉士自身も専門性を見える形にしていく必要がある
と考えています

そのために僕が大切だと思うのが
このあと紹介する
「教える」
「研修を作る」
「自分の価値を伝える」
という3つの行動です

やるべき行動①|「自分ができる」で終わらず、人に教えられるようになれ

介護福祉士を取ったら、まず意識してほしいことがあります

それは
自分が「介護ができる人」という認識だけで終わらせないことです

  • 食事介助が上手にできる
  • その人に合った排泄介助ができる
  • スムーズな移乗介助ができる
  • 認知症の利用者の対応の引き出しが多い

これらはもちろん大切です

でも介護福祉士になったのであれば
もう一歩進んで
「なぜ、その介助をしているのかを人に説明できる」
ところを目指してほしいと思っています

たとえば新人職員から
「この利用者さん、どうやって立ってもらえばいいですか?」
と聞かれたとします

そこで
「こうやって持ち上げれば大丈夫」
と教えるだけなら、単なる作業の伝達です

でも
「右足にはまだ力が残っているから、そこを使ってもらおう」
「全部こちらで持ち上げるより、自分で立つ力を使ってもらった方がいい」
「この人は急に触ると怖がるから、先に声をかけよう」

といった説明ができれば
介護の“やり方”だけでなく
“考え方”を伝えることができます

僕はここに
介護福祉士の大きな価値があると思っています

厚生労働省が掲載している「社会福祉士及び介護福祉士法」でも
介護福祉士は専門的知識・技術をもって介護を行うだけでなく
本人や介護者に対して介護に関する指導を行う専門職として定義されています

つまり
「人に伝える」という役割そのものが
介護福祉士の専門性と無関係ではありません

ただし
「介護福祉士だから新人指導ができる」
「初任者研修だから教えられない」
という単純な話ではありません

経験豊富で教えるのが上手な無資格者や初任者研修修了者も当然います

僕が言いたいのは
介護福祉士という国家資格を取ったなら
“教えられる専門職になる”ことを一つの目標にしてほしい
ということです

僕自身
短期間ではありますが介護職員初任者研修の講師を経験したことがあります

やってみるとよく分かります

自分では分かっているつもりでも
人に説明しようとすると
意外と説明できません

「なぜなんだろう?」
「根拠は何だろう?」
「もっと分かりやすく言えないかな?」

と考えることになります

つまり
教えることは、相手を育てるだけではなく
自分自身を育てる作業でもあります

新人職員に質問されたら面倒くさがらない

自分から「ここはこういう理由だよ」と伝えてみる

まずはそこからで十分です

資格を持っているだけの介護福祉士ではなく
知識や経験を、周囲に渡せる介護福祉士になりましょう

少し違う視点で
「福祉職のリーダーとはどういう存在か」
を解説した記事がありますので
参考にしてみてください

やるべき行動②|研修を「受ける人」から「作る人」になれ

介護の仕事をしていると、毎年いろいろな研修を受けます

虐待防止
身体拘束
感染症対策
事故防止
認知症ケア
接遇
などなど

でも、介護福祉士になったらぜひ一度
「研修を受ける人」から
「研修を作る人」へ回ってみてください

僕はこれをかなりおすすめします

理由は単純です
ものすごく勉強になるからです

たとえば
「身体拘束について10分説明してください」
と言われたとします

人に説明するためには
「そもそも身体拘束とは何か」
「どこからが身体拘束になるのか」
「緊急やむを得ない場合の考え方は?」
「今、自分たちの支援は本当に大丈夫なのか?」

など、改めて考えなければなりません

普段なんとなく理解していることでも
人に説明するとなると
“なんとなく”では済まなくなります

研修を作る
↓
自分で調べる
↓
根拠を確認する
↓
人に伝える
↓
質問される
↓
さらに考える

この繰り返しで
知識がかなり深まります

介護サービスでは、サービス種別に応じて虐待防止や感染症対策などについて、委員会・指針・研修等の実施が運営基準で求められています
たとえば介護老人保健施設では、虐待防止研修を定期的に実施することなどが明記されています

ただし
研修の具体的な頻度や報酬上の扱いなどはサービス種別によって異なるため
「すべての介護事業所で、この研修をやらなければ必ず減算」
という単純な理解はしない方が安全です
自分の働いているサービスに適用される基準を確認してください

そして
「制度上必要だから仕方なく研修する」
というのは
それだけではもったいないと僕は思います

せっかくやるなら
「職員が明日一つ行動を変えられる研修」にする

1時間の立派な講義なんて必要ありません

10分
「今日はこれだけ覚えて帰ってください」
でも十分です

人手不足の現場で
「研修やらなきゃな……」
となっているとき

「僕、やりますよ」
と言ってくれる職員がいたらどうでしょう

管理職からすれば
かなり助かる存在だと思います

僕は、こういう人を「職場の“宝”」だと思っています

通常業務をこなすだけでなく
職場全体の介護の質を少しだけ上げられる人

そんな介護福祉士になれたら
資格の価値は「資格手当」以上のものになります

やるべき行動③|黙って頑張るだけで終わらず、自分の価値を伝えて交渉しろ

僕は、この3つの中でここが一番大事だと思っています

自分の仕事を、自分の言葉で伝えましょう

介護職には
真面目な人が多いです

新人教育をする
研修を担当する
委員会もやる
シフトの穴も埋める
利用者対応も頑張る

でも全部
黙ってやる

そして数年後
「これだけ頑張っているのに給料が上がらない」
「全然評価されない」
と不満が溜まる

これってかなりもったいないと思いませんか?

もちろん
「こんなに頑張ってるんだから給料上げろ!」
とケンカを売れ、という話ではありません

そうではなく
自分が何をしているのかを
事実として言葉にするのが必要な行動です

  • 新人教育を担当している
  • 研修を企画、実施した
  • 委員会活動をしている
  • 資格を取得した
  • 業務改善をした
  • リーダー業務を担当している

こうしたことをまず整理してください

そして、上司との面談などで
「今、自分はこういう役割を担当しています」
「今後は、こういう仕事もしていきたいです」
「現在の役割を会社としてどう評価していますか?」
と話をしてみましょう

僕は
介護職も、もっと自分の価値を言語化していい
と思っています

介護は「優しい人がやる仕事」だけではありません

知識
技術
判断
コミュニケーション
リスク管理
新人育成
家族対応
チーム連携

いろいろな能力を使っています

それなら
それをきちんと仕事としてアピールしていい

むしろ
黙っていれば全部分かってもらえる
と思わない方がいいです

交渉するなら「頑張っています」ではなく事実を持っていく

待遇について話すとき
「僕は頑張っています」
だけでは弱いです

頑張っているかどうかは主観だからです

それより
「何を担当しているか」
「何を改善したか」
「何を任されているか」

を具体的に伝えた方がいいです

そして
会社の理念や目標と自分の仕事がどうつながっているのかも考えてみてください

たとえば
「新人育成を担当し、職員が一人で介助できるまで支援しました」
「虐待防止研修を担当しています」
「今後もこの職場で役割を広げたいと考えています。そのうえで、現在の役割について会社としてどのように評価しているか教えてください」

このように伝えた方が建設的です

交渉=ケンカではありません

「これからも働くための話し合い」

くらいに考えていいと思います

それでも評価されないなら「自分」ではなく「環境」を疑ってみる

新人教育をする
研修をする
資格を取る
役割が増える

それでも待遇がほとんど変わらない
(>_<)

そんなこともあります

そのときに
「自分には価値がないんだ」
と結論づける必要はありません

そんなときは一度
「この会社には、自分の経験や資格を評価する仕組みがあるのか?」
と冷静に考えてみてください

会社によって

  • 資格手当
  • 役職手当
  • 昇給
  • 処遇改善の配分
  • キャリアパス
  • 仕事内容

など、かなり違うところがあります

同じ介護福祉士でも
働く場所が変われば条件も変わる可能性がある
ということは頭に入れておきましょう

だから僕は
転職するかどうかは別として
外の条件は一度見ておいてもいい
と思っています

今の会社しか知らなければ、
「介護職ってこんなものか」
と思ってしまいます

でも求人を見てみると
「こんな働き方もあるんだ」
「この経験を評価してくれる職場もあるんだ」
と分かることがあります

転職しなくてもいいんです

選択肢を持っていること自体に意味があります

【内部リンク】
「介護の仕事がツラい・辞めたいと感じる4つの理由と対処法」

大切なのは
転職サービスに登録したからといって
必ず転職しなければならないわけではないということです

今の職場と外の職場を比較したうえで
「今の職場に残る」
という結論になっても問題ありません

まずは自分の介護福祉士としての経験が
外ではどのように評価されるのかを知るところから始めてみてもいいと思います

介護福祉士は「本人だけが得をする資格」ではない

介護福祉士を取るメリットとして
「資格手当が付く」
という話はよくあります

もちろん、お金は大切です

でも僕は
資格手当だけを見て介護福祉士の価値を判断するのは
かなりもったいない
と思っています

介護報酬には、サービス種別によって「サービス提供体制強化加算」など
介護福祉士の配置割合が要件になる仕組みがあります

たとえば認知症対応型通所介護のサービス提供体制強化加算では
区分に応じて介護職員に占める介護福祉士の割合が基準として設定されています

つまり
介護福祉士が働いていることが
事業所側にとっても意味を持つ場合があります

だからといって
「加算に関係するんだから給料を上げろ」
と単純に言える話ではありません

でも
自分が持っている資格が
会社にとってどういう価値を持つ可能性があるのか
くらいは知っておいていいと思います

資格手当だけではなく
新人育成
研修
チームの質
サービス提供体制

こうしたところまで含めて
介護福祉士は職場に価値を提供できる資格です

初任者研修との違いは「偉さ」ではなく、国家資格を持った後に何を背負うか

誤解してほしくないのですが

僕は
「介護福祉士は初任者研修修了者より偉い」
とは思っていません

初任者研修だけでも素晴らしい介護をする人はいます

無資格でも
経験を積み利用者から信頼されている人もいます

逆に
介護福祉士を持っているのに
「昔からこれでやっているから」
「別に勉強しなくても困らない」
という風に考えている人もいるでしょう

資格だけで人の優劣は決まりません

でも僕は
介護福祉士という国家資格を取ったら
“背負うもの”は少し増える
と思っています

なぜ、この介助をするのか

なぜ、この声かけをするのか

本人の力を奪っていないか

この支援は本当に本人のためか

根拠はあるか

もっと良い方法はないか

そうやって
正解が一つではないと分かった上で
考え続ける

僕は
それが介護福祉士として持ちたい姿勢だと思っています

そして
分からなければ調べる
調べたことを人に伝える
必要なら職場のやり方にも疑問を持つ

そういう介護福祉士が増えれば
「介護福祉士を置く意味」
も、もっと見えやすくなるのではないでしょうか

資格を取っただけで「あぐらをかく介護福祉士」にはならない

少し厳しいことを書きますが

介護福祉士を取ったあと

  • 資格手当が付く
  • 国家資格保持者になる

そこで
「よし、終わった」
となってしまうのは
かなりもったいないです

僕自身
介護福祉士を取ったことはゴールではありませんでした

そこから障がい福祉へ行き
児童福祉へ行き
保育士を取り

さらに次の資格や働き方を考えるようになりました

だから
介護福祉士を取得して満足している人に伝えたいです

資格を取ったところが
専門職としてのスタートでもあります

資格は持っているだけでは経験値になりません
使ってこそ経験値になります

  • 人に教える
  • 研修をする
  • 違う現場を見る
  • 新しい資格を取る
  • 転職してみる
  • リーダーを経験する

そうやって使っていけば

介護福祉士という資格が
次の選択肢を生む「土台」になります

僕は「介護福祉士を取ってからの3年」の方が重要だと思っている

介護福祉士になるには
実務経験ルートなら一定の実務経験などが必要です

その数年間は
「介護福祉士になる」
という明確なゴールがあります

でも、本当に面白いのはその後だと僕は思っています

【資格を取った後の3年で何をするか】

新人教育をする
研修を作る
リーダーをやってみる
別の事業形態を見る
障がい福祉へ行く
児童福祉へ行く
別資格を取る
働き方を変える

介護福祉士をベースにすると
いろいろな方向へ枝を伸ばせます

僕自身も
介護福祉士を取得した後に別分野へ経験を広げました

だからこのブログでは
介護福祉士を最終ゴールにせず
次の選択肢を増やすための土台として使う

という考え方を大切にしています

おすすめする「黄金のキャリア形成」についてはこちらの記事を参考にしてください

介護福祉士を取ったあと
「次は何をしよう?」
と考える時間は、決して遠回りではありません

むしろ
そこからがキャリア形成の本番です

まとめ|介護福祉士の評価は「誰かに上げてもらう」だけでは変わらない

介護福祉士の社会的評価を上げる

そんな大きなテーマを
一人の介護福祉士だけで変えることはできません

国の制度
介護報酬
会社の待遇
社会のイメージ

いろいろな要因があります

でも
自分たちにできることが何もないわけではありません

介護に根拠を持つ
新人に教える
研修を作る
職場全体に知識を還元する
自分の仕事を言葉にする
待遇について話し合う
必要なら環境を変える
次の資格や働き方を考える

こうしたことはできます

僕は
介護福祉士の価値は
誰かに上げてもらうのを待つだけではなく
現場の介護福祉士自身の働き方によっても少しずつ見えるようになる
と思っています

資格を取って終わらない

知識を持っているだけで終わらない

自分だけ介護ができて終わらない

「人に渡せる専門性」にする

そして
その価値を自分自身も理解する

介護福祉士を取ったなら
ぜひその資格を使い倒してください

僕は
「取るまでの3年」より
「取ってからの3年」の方が
これからの人生を変える可能性がある
と思っています

「介護福祉士の有効活用」
「社会的評価を上げる」

みなさんの価値観に少しでも変化が生まれ
前向きな気持ちになれていればうれしいです

最後まで読んでくださった方
ありがとうございました

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