僕には未就学児2人と、中学生1人の
3人の子どもがいます

家では父親として子育てをしながら
仕事では保育士として児童発達支援や放課後等デイサービスで子どもたちの支援に関わっています

仕事では「療育」
家では「子育て」

両方を経験していくうちに

療育で身につけた考え方が
子育てで役立つことがある


子育てで経験したことが
療育の支援に活きることもある

と感じるようになりました
たとえば

  • 「公園から帰りたくない!」
  • 「お風呂に入りたくない!」
  • 「ゲームをまだやりたい!」

という場面

親としては
「もう帰るよ!」「早くして!」
と言いたくなります
僕も普通に言います

ただ、そんなとき

  • 「あと5分で終わりと伝えてみよう」
  • 「一度にたくさん言いすぎていないかな」
  • 「本人は何が嫌なんだろう」

など、療育で使っている視点を少し入れることで
親子ともにラクになることがあります

この記事では

  • 子育てで役立った療育の考え方
  • 子育て経験が療育で役立った場面
  • 子育て経験がなくても療育の仕事ができる理由

について
3児の父親・保育士・療育職という僕自身の経験から紹介します

なお、ここで紹介する方法がすべての子どもに当てはまるわけではありません
子どもの年齢、発達、性格、環境によって反応は違います
「こうすれば必ずうまくいく方法」ではなく
「困ったときに使える関わりの引き出しが増える」
くらいに考えてもらえればと思います

子育てと療育は同じではない。が、考え方は活かせる

最初に大切な前提として
子育てと療育は同じものではありません

家庭では親子として生活します
療育では、支援者としてその子や家族に関わります

関係性も役割も違います

なので
「療育ではこうするから、家庭でも絶対こうするべき」
とは考えないようにしましょう

反対に
「自分の子どもにはこれでうまくいったから、利用児にも同じようにすればいい」
というものでもありません

ただし

  • 子どもに分かりやすく伝える
  • 見通しを持てるようにする
  • 行動の理由を考える
  • できたことに注目する
  • 出来事だけに注目するのではなく、背景を見ようとする

こうした視点は
家庭でも療育でも役立つことがあります

僕自身
療育の知識が増えたことで、子どもへの対応の選択肢が増えました
以下で実体験の紹介も交え、解説していきます

子育てで役立った、療育の考え方5つ

1.突然終わらせず「見通し」を伝える

公園で楽しく遊んでいるところに
突然「はい帰るよ!」
と言われたら

子どもからすれば
「え?」「なんで?」「イヤだ!」
となります

大人でも同じですよね
楽しいことを突然中断されれば、多少なりとも不満を感じると思います

そんなときは
終わりを少し前から伝えておくことで
急激な状況の変化に対応がしやすくなることがあります

たとえば

  • 「あと5分で帰るよ」
  • 「滑り台をあと2回やったら帰ろう」
  • 「時計の長い針がここまで来たらおしまいね」

といった声掛けです

ポイントは
「親の言うことを守らせる」ことではありません

次に何が起こるのか、子どもが予測できる状態をつくることです

療育でも
活動予定を示したり
「これが終わったら次は○○」
と説明したりして
利用者さんにとって見通しを持ちやすくする対応をすることがあります

もちろん予告したから必ず納得してくれるわけではありません
「5分って言ったけどイヤ!」
となるときもあります

それでも
突然終わりを告げるより
気持ちを切り替える準備がしやすくなる
子はいます

2.一度に全部言わない

たとえばこの先の予定について
「おもちゃ片付けて、着替え持って、お風呂入って、終わったらアイス食べよう」
という風に子どもに説明をすると
どうなるでしょうか?

大人には分かる文章です
でも子どもにとっては
やることが一気に4つくらい飛んでくる感覚なのではないでしょうか

結果
何も始まらない

親としては
「さっき言ったでしょ!」
となる
これは我が家でも普通にあります

そんなとき療育の現場で意識され実践されるのは
伝えることを小さく分ける
という方法です

まず
「おもちゃを箱に入れよう」

できたら
「着替えを持ってこよう」

その次に
「お風呂へ行こう」

というように、一つずつ進めます

子どもによって理解できる情報量は違います
長い説明でも問題なく理解できる子もいます
なので
「子どもには短い言葉しか使ってはいけない」
という意味ではありません

大切なのは
その子が分かりやすい量で伝えることです

3.「ちゃんとして」より具体的に伝える

ついつい子どもに向け

  • 「ちゃんとして!」
  • 「早くして!」
  • 「いい子にして!」

と言ってしまうときがないでしょうか?

正直僕も言います

ただ、考えてみると
「ちゃんと」って何でしょうか?

大人同士でもかなり曖昧な表現です
子どもであればなおさら、解釈に食い違いが生じる可能性は高いでしょう

なので、できるだけ
何をしてほしいのかは具体的に伝えましょう

たとえば
「ちゃんと座って」ではなく
「イスにお尻をつけよう」
と伝える

「早く片付けて」ではなく
「赤いブロックを箱に入れよう」
と伝える

時間についても
「もう少し」ではなく
「あと5分」
「あと2回」

などにする方法があります

言葉だけでは分かりにくければ

  • 時計
  • タイマー
  • 写真
  • 絵
  • 実物
  • 紙に書いた予定

などを使う方法もあります

療育では
その子が理解しやすい方法を考えながら環境を整えていきます

僕自身は家庭でも我が子に対し
「何回言っても分からないなぁ」
と思っていたことが

伝え方を変えてみたら、上手くいくこともある
と、選択肢を持てるようになりました

4.「できていないこと」だけでなく「できた瞬間」を見る

子育てをしていると、どうしても
できていないところが目につきます

  • 散らかしている
  • 着替えない
  • 宿題しない
  • ゲームをやめない
  • ケンカする

そんな場面が続けば
「またか…」
と思うのではないでしょうか

一方で、療育の現場で子どもを見ていると
小さな変化を探す力が身につきます

  • 昨日より少しだけど、待てた
  • 自分から「貸して」と言えた
  • 一度言われただけで片付けができた
  • 負けても最後までゲームに参加できた

こうした
小さな「できた」に気づく力です

そして
「えらいね」だけではなく

  • 「自分で片付けられたね」
  • 「待ってくれて助かったよ」
  • 「嫌だったけど最後までできたね」

など
何が良かったのかまで具体的に伝えると
子どもも成功の実感が深まります

我が家でも子どもに対し
なかなか叱る場面をゼロにすることはできません

親だって、大人だってイライラするときはあります

それでも
「今日、できていたことは何だろう」
「あたりまえと思ってできていることは、あたりまえではないのかもしれない」
という視点を持つと
子どもの見え方が少し変わりました

「よくできたね」と、大人にとってなにげないような一声をかけると
子どもは意外なほど喜ぶ表情を見せてくれるときがあります

5.行動だけではなく「なぜ?」を見る

療育の仕事をしていて大きく変わったのが
子どもの行動を見たとき
良い・悪いだけで判断しなくなったことです

たとえば

  • 走り回っている
  • 大声を出す
  • ゲームをやめられない
  • 帰りたがらない
  • 友だちを押してしまった

といった場面があれば
もちろん危険な行動は止めなければいけません

ただ、そのあとに
「なんでそうなったんだろう?」と考えることも必要です

もしかすると

  • まだ遊び足りなかった
  • 疲れていた
  • 言葉で上手く伝えられなかった
  • 見通しが持てなかった不安
  • 感覚の欲求が満たされていなかった
  • 環境的に刺激が多く、混乱した
  • 負けることが悔しかった
  • 相手との距離の取り方が分からなかった

などの可能性があります

もちろん理由は一つとは限りません
そして要因の特定は、本人にしかわかり得ないときもあるでしょう

それでも、行動に対して単純に
「困った行動をする子」で終わらせず
その行動の背景を考えてみる

これは療育から子育てに持ち帰ってきた、大きな視点の一つです

【内部リンク】
感覚刺激について詳しく知りたい方は
→「発達支援・療育|遊びの中に5感+2つの感覚刺激を取り入れる」の記事へ

「ゲームをなかなかやめない我が子」への対応

ゲームを長時間していると
親としては
「やめさせないといけない」
と思うのではないでしょうか

でも

  • ゲーム以外に楽しいことが少ない
  • 学校で疲れている
  • ゲームが友だちとのコミュニケーション手段になっている
  • 達成感を得られる場所がゲームしかない

という可能性もあります

だから
ゲーム時間だけを見るのではなく
その子の生活全体を見る
ことが大事だと僕は考えています

反対に、子育て経験が療育の現場で役立つこともある

ここまでは
「療育の経験→子育てに役立つ」
の話でした

もちろん反対方向もあります

僕自身
子どもを育てているという経験が
児童発達支援や放課後等デイサービスで働くときに役立つことはたくさんありました

ここでは経験から3つ、お伝えします

1. 子どもの「生活」が想像しやすくなる

療育を受ける子どもにとって
事業所活動で過ごす時間は
その子の生活の一部分です

事業所での活動とは別に
家に帰れば
食事、お風呂、宿題、歯磨き
きょうだいとの関り
ゲーム、就寝、明日の準備、学校
などがあります

子育ての経験があると
こうした
事業所の外にある生活
を想像しやすくなります

たとえば療育の場面で
「一人で着替えが難しい」という一つの課題がある子がいたとして
色々な生活の場面の想像ができます

  • 朝の忙しい時間でのことなのか
  • お風呂のときなのか
  • 服を選んでいるのは本人か、親か
  • ボタンが難しいだけなのか
  • 急いでいるから親が全部手伝っているのか

生活の状況によって支援は変わります

そういった場面の想像が、子育ての経験により実体験としてあると
保護者や本人に向け「わかる」と共感ができます
そして
「このシチュエーションなら上手くいくかも」
「この状況下でなら学びになり、改善ができるかも」
など、本人の意欲が湧くような、あるいは時間にゆとりを持てる場面をみつけて、「自分で着替えられる」という目標の達成へとつなげやすくなります

療育では
目の前の活動の様子だけではなく
その子の暮らしにつながる支援を考えることが大切

だと僕は思っています

2. 半年・1年単位で子どもの可能性を考えられる

子育てをしていると
「去年できなかったのに、今は普通にできているじゃん」
という子どもの様子・場面にたくさん遭遇します

  • 靴を履く
  • 服を着る
  • 箸を使う
  • 自転車に乗る
  • 友だちと約束して遊ぶ
  • 気持ちを言葉にする

など

当時、親から見て「全然できそうもないな」と思っていたことが
半年後には普通にできるようになる
それが子どものポテンシャルです

そんな場面を目の当たりにする経験から

僕自身、療育の現場でも
今できないことだけを見て
「この子はできない」と決めつけるのではなく
「できるようになるかも」と考える

視点を持つことができます

もちろん
「そのうちできるから放っておけばいい」
という意味ではありません

必要な支援をしながら、長い目でも見ていく
この両方が必要だと思っています

3. 保護者への共感視点を持つことができる

児童発達支援や放課後等デイサービスでは
送迎時に保護者とお話をしたり、家庭での悩みを聞くことがあります

  • 「最近、全然寝てくれなくて」
  • 「ゲームばかりで」
  • 「兄弟ゲンカが多くて」
  • 「朝の準備が全然進まなくて」

といった相談を受ける場面があったとき
子育て経験があると
「ああ、それは大変ですよね」
という感覚を持ちやすい部分があります

ただし、ここには注意も必要です
自分の子育て経験を、そのまま相手の家庭に当てはめないようにしましょう

「うちはこれでうまくいきましたよ」という経験談は
一つの参考にはなるかもしれません

ですが
家庭環境も
子どもの特性も
親の考え方も
人や家庭の考え方により千差万別です

なので
「うちはこうだったから、あなたもこうした方がいい」とはしない
これは支援者としてとても大切です

家族支援では
正解を教える人になるより
一緒に整理して考える人になる

そのくらいの距離感を、僕自身は大切にしています

子育て経験がなくても大丈夫、療育の仕事はできる

ここまで読むと
「じゃあ子どもを育てた経験がある人の方が療育スタッフに向いているの?」
と思ってしまうかもしれませんが

僕はそうは思いません
療育のスタッフとなるのに子育て経験がなくても全く問題ありません

最初に大切な前提として伝えていましたが
子育てと療育は同じものではないからです

療育スタッフに必要とされる力は

  • 子どもを観察する
  • 発達について学ぶ
  • 記録する
  • チームで情報共有する
  • 支援を考える
  • 実践する
  • 振り返る

などです

これは
自分に子どもがいるかどうかとは別の専門性です

「親だったらどうする?」ではなく「支援者としてどうする?」と考えられる強みがある

子育て経験があることが
必ず療育にプラスになるわけでもありません

自分の子どもへの接し方を
そのまま利用児にしてしまう危険もあるからです

たとえば
泣いている子がいたとき
親なら抱きしめることがあるでしょう

でも支援の場では

  • 本人が触れられることを望んでいるのか
  • どんな距離感が適切なのか
  • その場の状況や支援方針はどうなっているのか

などを考える必要があります

つまり

家庭では「親として」

療育では「専門職として」

関わりを使い分ける必要があります

子育て経験がないことで
先入観を持たず
記録やアセスメント、チームの方針をもとに支援できる

という強みも十分にあります

子育て経験より大切なのは「目の前の子を知ろうとすること」

僕自身
保育士資格を持っていますし
子どもも3人います
児童発達支援や放課後等デイサービスでも経験を積んできました

それでも
子どもの発達や適切な支援方法について
分からないと思うことは普通にたくさんあります

同じ年齢でも
子どもは一人ひとり全然違います

兄弟ですら違います
だから結局大事なのは
「子育て経験があるか」
「保育士資格を持っているか」
だけではなく
目の前にいる子を知ろうとすることだと思います

  • 好きなものは何か
  • 嫌いなものは何か
  • どんなとき笑うか
  • どんなとき困るか
  • 自分から「やりたい」と思うのはどんなことか
  • どんな伝え方なら分かりやすいか

そんなことを少しずつ知っていく
そこから支援が始まります

僕にとっては「子育て」「保育士」「療育」が少しずつつながってきた

僕はもともと高齢者介護の仕事をしていました
その後結婚して子どもが生まれ
児童発達支援や放課後等デイサービスで働き
保育士資格も取得しました

そして父親として子育てをして
新たな子が生まれたりもしました

最初から
「こういう人生、働き方にしよう」と
明確なキャリア形成を描いていたわけではありません
かなり遠回りしている気はします

でも今振り返ると

  • 介護で学んだ対人援助
  • 保育士の勉強で得た知識
  • 療育の現場で学んだ子どもとの関わり
  • 自分自身の子育て

図らずも、それぞれが少しずつつながっていることを感じます

そして、一つ経験が増えるたびに
困ったときに選べる選択肢が増え
気持ちにゆとりが持てるようになったと感じます

まとめ|子育ても療育も「引き出し」が増えると少しラクになる

子育てにも、療育にも
絶対の正解はありません

「この方法を使えば必ずうまくいく」
というものもありません

だからこそ
いろいろな考え方、対応方法を知って
その子に合わせて試行錯誤する

その中で
「これは合っているかも」
という方法を増やしていけば良いと思います

今回紹介したのは

  • 見通しを伝える
  • 伝えることを小さく分ける
  • 具体的に伝える
  • できた行動を見る
  • 行動の背景を考える

という5つの視点です

どれも
「子どもを思い通りに動かすためのテクニック」
ではありません

子どもが少し分かりやすくなり
大人側にも少し余裕が生まれるための引き出し

だと僕は考えています

療育で得た経験が家庭で役立つこともある
家庭での経験が療育で役立つこともある

でも
どちらかの経験がなければダメということでもない

それぞれの経験を
目の前にいる子どもに合わせて活かしていける
そんな考え方が少し広まっていくとうれしいです

最後まで読んでくださった方
ありがとうございました

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